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島田理化工業株式会社
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平間昭正氏
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仮組みの位置合わせ、 固定用に使用する テーブルとゲージ |
ろう付時の変形を排除する ブレージング用の治具も 開発 |
感覚を駆使して精度を 読み取り微妙な力加減で 仕上げる |
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「入社して間もない頃は、ヤスリとキサゲを持たない日はありませんでした。そのおかげで今の自分の仕事があると思います。現場の技能者の手仕上げを見ていると、基本的な作業をしっかり身に付けている人ほど上手」と、平間氏は語る。
手仕上げは、一般にキサゲやヤスリといったシンプルな工具を頼りとする作業。技能によって精度や仕上がる時間にかなりの差ができるのが普通だ。そうした中、平間氏の技能は、たとえば、ろう付によって生じてしまった熱変形や伸縮歪みを修正する場面で、欠かすことができないものになっている。それを、導波管(Wave Guide)と呼ばれる部品の仕上げ作業を例に見ていこう。 |
| 正確な寸法を導き出す高度な手仕上げ技能 | |||||
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平間氏が手掛ける導波管とは、※アレーアンテナと呼ばれる通信機器の要素部品の1つ。アレーアンテナには電波を配分する デバイダ (分配器)がセットされ、そのデバイダは複数の 導波管 から構成される。 「導波管には、管内を伝わる電波の漏洩を防ぐために、高い気密性が求められています。導波管は、板材を組み合わせろう付け接合するために、熱による寸法の狂いがどうしても避けられません。最終的に、精度を出すための手仕上げが求められるのです」。 現在は、引抜加工で作られる導波管もあり、製作に関する労力が以前より軽減されつつある。しかし、その分、仕上げ具合を見抜く感覚など大切な技能が次第に現場から失われつつあることも事実だ。 高温のろう付による変形を最小限に抑える方策を取りながら、ハンマ、キサゲ、ヤスリ、サンドペーパーなどを使い分け、図面の寸法通りの高度な仕上げ作業をこなせるのは、いまや島田理化工業の中でも平間氏を含め、数えるほど。製品を公差内に収めていく作業は、経験の浅い技能者ではなかなかできる仕事ではない。 |
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| 歪みを最小限に抑える独自の治工具を開発 | |||||
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手渡された設計図に基づき、いかに早く要求寸法に応えるか。それが勝負のポイントだと平間氏は述べる。 「現場の技術者の手仕上げを見ていると、基本的な作業をしっかり身に付けている人ほど上手。もし、機械加工で作業するのであれば、使用する工作機械や刃物・工具の精度が製品の精度を左右しますが、私たちのような手仕上げ・機械組立作業では、キサゲやヤスリといった簡単な工具に頼る手作業。技能によって精度や仕上がる時間にかなりの差ができるのが普通です」。 検討の結果、平間氏はいくつかの治工具を開発した。 たとえば、電波が放射されるフランジの平面度や9種類の導波管各部の継ぎ目の位置合わせを正確に行うための固定用治具が一例である。 導波管を固定する治具は、ワークを載せるテーブルと、コマ(ブロックゲージ)から構成される。このコマは、前工程における熱処理時の形状保持のために、また、点溶接時の 位置合わせ や、ろう付(※ディップブレージング)後、位置出しのために各フランジに挿入し、精度を保証するものである。黄銅(真鍮)及びステンレス鋼の 2種類 が作られている。伝熱性のよい黄銅のコマは、フランジの口径より一回り小さく設計されており、点溶接時の熱による膨張が加味されている。ステンレス鋼は、熱膨張などの変化が少ないために、熱処理等に使われる。 「実際、こうした治工具で固定しなければ、要求寸法どおりに作られないのではないか、と懸念していました」。 まだ、ろう付されていないワークを仮組みするための点溶接を施すとき、この治具の上に固定されていないと、部品点数の多いデバイダが不安定になってしまう。 この治具を作る際には、設計、製造、開発の担当者と協力しあいながら、まとめあげていった。 ワークと治具を組み上げる作業は定盤の上で行われる。後工程のろう付けは、油分を嫌うので、作業前に定盤表面を清浄に保っておく。 各部品の寸法合わせは、熱膨張を考慮して、マイナス公差に仕上げ、寸法をやや小さ目にした状態で、仮組み治具に固定する。 |
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| ディップブレージングを活用したモノ作り | ||||
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島田理化工業は、マイクロ波用導波管や測定器メーカーの代名詞として、平間氏が入社した当時から市場では高い技術力を誇っていた。現在は、情報通信機器関連のほか、コンピュータのハードディスクの超高精度洗浄装置やLCD製造用剥離装置などの製造・販売に力を入れる。通信、半導体、液晶分野の先端的基幹製品を担うIT関連企業が目指す姿だ。 高度な洗浄技術などを核とした製造プロセスのシステム化は同社の得意としているところである。 導波管を接合するためのディップ炉も、1969年頃にいち早く導入している。 ディップ炉では、ろう付時の温度は約600度になる。母材となるアルミニウム合金の融点は約640度であるため、炉に出し入れする時は、熱膨張による変形が起きてしまう。 ディップブレージング は、ワーク全体を均一に加熱できる優れた接合技術だが、同時に、品物が一方向に熱変形するのではなく、多方向に変形するといった難点も持つ。特にデバイダのような複合体の場合、より複雑な歪みを生みやすい。しかし、それらの問題を経験とノウハウにより克服し、生産を軌道に乗せることができた。ろう付時の変形を防ぐ 拘束用治具 もここで考案された。 この治具は、ろうを行き渡らせるための多数の穴が空けられたステンレス鋼製のテーブルと、ワークを固定するためのネジ穴からできている。 それでもなお、若干の変形はどうしても生じる。そのため、(ろう付後)寸法精度を 確認 し、要求精度に合うよう、叩いたり、曲げたりといった 修正工程 が必要となる。もっとも、そうした“修正可能な範囲”で仕上がってくるのは、前工程からの熟練技能が効いているからに他ならない。 「ブレージングの特性を考慮しながらの物づくりが、デバイダの仕上げ作業といえるのです」と平間氏は説明する。 |
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| 熟練技能を身に付けてきた過程、技能継承に対する考え方等について まとめ ました。 |